日本商工会議所だより

【「日EU・EPA」講演会】

5月17日、デュッセルドルフ日本商工会議所は、JETROデュッセルドルフ事務所及びデュッセルドルフ商工会議所との共催にて日EU・EPA講演会を開催致しました。

まず、欧州委員会で本EPA交渉の責任者であったマルムストロ-ム委員のチームメンバー、ブルグスミューラー氏に日EU・EPA交渉の経緯と今後の締結までの見通しをお話し頂きました。昨年12月の交渉妥結後、欧州委は4月18日、同協定最終文案の欧州議会提出を終え、2018年夏までにブリュッセルで開催の日EU首脳会談での調印を予定し、2019年までの発効を目指すとのこと。この協定によって世界のGDPの約3割を占め、世界貿易総額の約4割、人口6.4億人をカバーする世界最大規模の自由経済圏が新たに誕生すること、世界でも例を見ない高水準かつ意義のある協定であり、日EUの経済成長にプラスの効果をもたらし、互いの経済関係の緊密化に貢献する、との認識を示しました。

続いて、JETROブリュッセル事務所の井上所長からは、同協定に関する本邦公的機関としてのJETROの取り組みについてご説明頂きました。この協定により「日・EU間のパートナーシップをさらに強め、ここ10年間で2倍に増加しているEUから日本への投資が活発になるのでは」との期待感を表明しました。また、交渉結果についてまとめられた資料にも触れながら、「発効・関税撤廃までに時間がある分野もあり、現時点では不透明なところもあるが、十分な準備を整え、本協定を活用し、各企業ビジネスに役立ててほしい」との、アドバイスを頂きました。

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「日EU・EPA」講演会       © JIHK

 

【日独経済シンポジウム】

5月26日の日本デー文化祭に引き続き、その一環である日独経済シンポジウムが5月28日、ホテル・インターコンチネンタルにて「自動車の未来・日本とドイツからの技術革新」をテーマに開催されました。
外気温30℃を超える暑さの中、過去最大規模の350名以上の参加者が集まり、ピンクヴァルト州経済大臣、水内総領事、ガイゼル市長に続き奥村デュッセルドルフ日本商工会議所会頭が挨拶の言葉を述べられました。
シンポジウム前半の基調講演では、ドイツ自動車工業会副会長、キルヒホッフ氏より「大変革期における自動車部品メーカー デジタル化とEモビリティのはざまで」をテーマにお話頂き、また日本自動車工業会欧州事務所所長、岡氏の講演では「日本のモビリティビジョンと日欧協力の可能性」について、ビデオ映像を交えご説明頂きました。
後半のセッションでは、日独双方の6つの企業(トヨタ自動車、旭化成、ルネサス エレクトロニクス、Ericsson、Streetscooter GmbH、thyssenkrupp AG)から実践例が紹介され、大気汚染ゼロを目指す自動車製造においての挑戦、次世代自動車についての新技術、先進運転支援システムや自動運転に係る半導体の開発について、5Gテクノロジーへ向けての共同研究開発、ドイツポストのEモビリティプロジェクト、エネルギー転換期のオートモビリティ等興味深いテーマによるお話を頂きました。その後、活発なディスカッション及び質疑応答が行われ、日独専門家からの業界の展望、技術的革新並びに国境を越えた協力の可能性について、率直な意見が交わされました。

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日独経済シンポジウム       © JIHK